今日ネットサーフィンしている時に、ある実業家のTwitterを見ていると、機械翻訳に関するアプリの概要が説明されていました。そのアプリを使えば、母国語で話した内容を数秒以内に機械が他言語に翻訳することが出来ます。生成AIが遂に「言語の壁を取り壊し、言語習得の必要性が無くなる」未来を形成しつつあるのかもしれません。教育に携わるものとして、実際に使ってみた感想とアプリの実用性について語ろうと思います。
アプリを使ってみると、確かに日本語で話した内容が英語で正確に翻訳されました。ただ、アプリの使用が言語習得を代替できるとは言えないと個人的に思いました。まず、翻訳に数秒のラグが生じる点です。人々が対話をして想いを伝える際に重要なのは、話している内容だけではありません。話している時の表情、視線の変化、口元の歪みなど非言語的な要素がメッセージを伝える上で言語的要素と同程度の重要性を持っています。例えば、こんな文をアプリを通して翻訳しているとしましょう。
『懸念点がいくつかあります。特に価格に関しては、他社の方が安い。ただ、私はこの商談に強い興味を持っています。』
人と人が対面で会話をするなら、最初の二文には疑念を感じさせる表情、しかし最後の文には、希望に溢れた表情が醸成されるはずです。機械翻訳を使うと、話している表情と内容にラグが発生し、希望に溢れた表情をしているときに疑念を感じさせるような内容、懐疑的な表情をしているときに楽観的な内容を話している、そんなケースが出てきます。例文のような感情の浮き沈みが存在する文章では、話している内容の解釈が難しくなり、物事の判断が正確にできなくなります。これが一つ目の懸念点であり、改善を要するポイントだと思います。
もう一つの点は、特定の言い回しや言葉を正確に翻訳できない点です。特定の言語には、その言語の話者の文化、感性が組み込まれており、他言語に直訳すると意味が通じないケースがあります。例えば、日本語でいう「いただきます」や「ご馳走様」は日本人特有の食前、食後の口語であり、他文化には精通していません。したがって、他言語に直訳すると、意味の通らない文になってしまいます。なので、各言語に存在する特有の言い回しを翻訳できないことが、もう一つの懸念点になります。
これらの理由から、実用性に欠けていると考えます。現時点では、言語習得した方が意思疎通に問題が生じるケースが少なく、円滑にコミュニュケーションが行えると思います。教育の現場では、このような革命的な技術を取り入れることで、新しい教育の形を追求できると思います。例えば、オンラインでの授業に機械翻訳の技術を組み込むことで、異なる言語を扱う講師と生徒が授業を行うことが可能になり、より適切な講師を登用できるようになります。ERIGでは、事業理念の一つとして「新しい教育の追求」を掲げており、有効な技術はできるだけ採用していきたいと考えています。更なる技術革新によって、教育がより良いものに前進することを願うばかりです。
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