「なんで学校行かないといけないの?」「学校で習うことって将来役に立つの?」幼い頃なら誰しもが抱えていた疑問だと思います。個人の視点から考える教育の意義というと、将来良い職業に就くためとか高い収入を得るためとか、自身の社会的地位に関わるものが多いのでしょう。結局はそれが幸福につながるのだから、教育は重要だと結論づけることができるかもしれません。ただ、教育の本当の価値はもっと人間の本質的な部分にあると思います。
日本のような先進国では、教育は社会的地位を向上させる上で重要かもしれませんが、発展途上国では生命の維持に必要とされる知識を伝授する場です。例えば、どのようにしてHIVを避けるかとか、なぜむやみやたらに流水を飲んではいけないのかといった、人々の生命維持に影響を及ぼすような要因(感染病の発症)を避ける方法を教えています。日本のような先進国では、親や前の世代の人々が質の高い教育を受けてきたため、発展途上国で教えられている内容が既知の知識として存在しています。従って、今の世代を生きる子供たちは教育機関でこれらの知識を蓄積する必要がなく、単なる親との会話や大人との交流を通して学ぶことができるのです。そうなると、先進国での教育の意義というのは、生命の維持ではなくより高い社会的地位と幸福の確保に移行するのでしょう。「学校で習うことって将来役に立つの?」こういう疑問を持てること自体、教育の質の高さを証明しているのではないでしょうか。
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